収入印紙


収入印紙

新築三年目の中古で購入した家、

注文建築で、前家主に拘りがあったのだろう、

工務店の訪問を受ける度、

造りが良いと褒められる

悪い気はしなかったが、

30年という時を経て、

それが仇になった

/

瓦は高価なもので、

重さがあるために、 度重なる地震の影響で

修繕が必要になる

葺き替え、 葺き直し、

いずれにしても決して安価ではない

/

数社で見積もりを取り、

瓦仕事を祖父の時代から見てきたと、

いかにも自信あり気な四十歳ばかりの男の口上を信じた

凡て後払いという話は私の空耳だったか、

前金を請求され、

一言、揶揄はしたが、

結局は肯い、

領収書を受け取る

/

後になって、改めて眺めてみると、

紙面には収入印紙が無かった

/

通常は銀行振込みというが、

支払いの、 振込手数料は客負担

経費を削っているようだが、

工事は大丈夫だろうか、と 不安がよぎる

/

生前、職人をしていた父が

領収書を発行するたび、

子どもの私は、

二百円の、 ときには、より高額の収入印紙を

買いに行かされた

領収書に印紙を貼る父は、

ちょっと誇らしげで、

穏やかに嬉し気な顔を覗かせて、、、

そんな父の姿を見ることが好きだった

誠実に仕事をしていたんだなぁ、

父を誇らしく思った

           2022,04,29


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