無音の響き チョン・ミョンフン
指揮者チョン・ミョンフンと東京フィルとの関係はもう二十年に及ぶという
その関係がコロナで暫らく途絶えた後で、ひさびさにリハーサルをしているとき、
彼は、マーラーの、 「音楽で本当に美しいものは音符の中にはない」という言葉を引用しながら、
「音符の間に何があるのか、
音符の周りに何があるのか、
音符の前後に何があるのか。
リハーサルはそれを見つけるためにある」と語っていた
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音楽とは無音の響きを聴くこと、
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事象は無においてこそ有を奏でる、
有と無は自らのために互いに他を必要とし、
浸食しあう
有のなかに無(静けさ)を感じること、
無のなかに有を聴き、読み取ること、
そこに真の事象かせある
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この真理は音楽に限らない
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セザンヌは、 絵画のなかに白紙を残し、そこに光を充てた
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維摩の一黙、
佛教の真理は沈黙のなかに
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言葉に囚われるか、
あるいは、自由への方途とするか、
それは言葉を前にしての、
力量と才幹、
そして、経験の深さにかかっている
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ミョンフンは、さらに、語る
「私は歳をとることが大好きです。何もいらないから、このまま歳をとりたい」 と、
是として受容する
自らの器量が問われている
2021,11,16
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